*注:ここで使われている写真はすべてイメージ写真である。

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作業ダイブを終えた我々は、休む間もなく次なるポイントへ移動を開始した。

目指すは「アンタハンタロット」。

左手に崖を眺めながらの道行きである。

途中、上陸できそうな岩場があり、興味津々の猫が単身スノーケリングで上陸を試みた。

眺めは絶景雄大である。

 

波に洗われた岩はよくすべるようで、気をつけて歩いていたはずが何度もこけそうになり、とうとう尻餅をついた。

その光景にメンバー全員大笑い。

おかげで作業ダイブのときの緊張がほぐれ、元気が戻った。

程なく到着したアンタハンタロットは、崖がえぐれてアーチになっており、アーチをくぐると天井が抜けて空が見える。

アーチ自体はナイフで削ぎ落としたような鋭利な岩で出来ており、もし落ちてきたら、と考えると、くぐるのをためらってしまうようなところだ。

 

とりあえずアーチをくぐり岸に着く。

オカシラと仏様は上陸したが、私を含めた他のメンバーはすぐに引き返した。

どうも、入り口あたりに来ると怪物の口に入っていくような気がして、気持ちが悪かった。

再度潜行して船に戻る途中、サーッという音に水面を見上げると、小さな輪がびっしりと水面を覆っていた。

雨だ。

これがアンタハン最後のダイブであった。

天候には恵まれなかったが、得るところのおおい冒険旅行であった。

帰路は台風とすれ違う。

船をも呑み込むほどの大波の中、ナニー船長の操船のもと、無事カイパン島へとたどり着いた我々を迎えてくれたのは

七色に輝く虹の祝福であった。

おしまい。

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