*注:ここで使われている写真はすべてイメージ写真である。

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潜水開始、8:21AM。

アンタハン最初のダイビングだ。

気温28度、水温30.6度。多少流れがあるが危険なほどではない。

潜ったのはカイチョーと仏様とオカシラと私。

後の二人はアンタハン到着まもなくのダイビングで、体調が整わないため様子見のようだ。

決して無理せず、それぞれのダイビングスタイルで潜るのが今回のツアーのルールである。

ゆっくりと潜行を開始する。

透明度は30メートルをはるかに越えている。

なだらかなドロップに沿って水深20メートル程の深さまで潜ると、なにやら変わった珊瑚が見えてきた。

 

高さ1m程度の立ち枯れした樹木のようだ。

その珊瑚は、深場に向かって数が増えていく。

黒珊瑚という割には黒くない。

色は肌色で直径5cmほどの幹から細い枝が伸びている。

我々は、ブラックコーラルの群生を追って水深27mまで潜ったが、以降のダイビングを考え、

また、流れも強くなってきたため、アンカーロープに掴まりながらエキジットした。

船上で島の長に聞いたのだが、それは間違いなくブラックコーラルだとの事だった。

干すと黒くなり、装飾品に使えるので価値があるのだと言う。

島の長は採ってこいと言っていたのだが、価値があるということは、希少であるという事で

自然を愛するダイバーとしてはそういうわけにもいかなかった。

空はどんよりと曇っている。

次のポイントは天狗岩だ。

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